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2008-08-20 行事報告

開催日 2008年8月20日
場所 奥日光高原一帯
参加者 41名
報告者 上原

奥日光宿泊観察会 観察地域:奥日光高原一帯 集合(宿泊)場所:奥日光おおるり山荘 〒 321-1662 栃木県日光市湯元2519℡=フリーダイアル0120-582-870 集合時間: 8月20日(水)15:00参加者: 41名 いろは坂を上り切ると冷涼で゛清澄な空気に変わった。

待ち合わせ場所の三本松茶屋で数名と落ち合い、湯滝の駐車場に車を入れすぐ脇の林から観察を始める。ウラジロモミ、ミズナラの大木が散在し、地表はミヤコザサに覆い尽くされている。

キノコノ影はイマイチで、発見してもほとんどベニタケ類が多かった。木道を進み小滝の橋を渡って対岸に渡ろうとすると小学生の団体に出会ったので、手前で待っている間にふと川面に目をやると流倒木に真っ赤な硬いきのこらしきものが目に付いた。降りて観察するとやわらかく管口部分の色がひときわ鮮やかな朱色である。初めてお目にかかったがオオカボチャタケという種でミズナラの樹表に発生しここ日光に多いという。(福島氏談)。橋の下の地表にチチタケを発見したがまだ幼菌であった。

湯滝の近くで先端の丸いとげが子実体の表面を覆っている幼菌を発見した。これもこの地に多いスギタケモドキ(福島氏)であるという。

金精峠 をこえて、丸沼からロープウェーで標高2000mの高原に登った。白根への登山道を歩いてみたがやはりベニタケ科のきのこが多く、さしたる収穫はなかった。

宿に到着すると夕刻から小雨になり、まずは温泉へと、碧白の濁り湯を楽しんでいると屋根を打つ雨音がひときわ激しくなった。宿の好意により急遽ダンスホールを鑑定会場として提供していただくことになり大助かりであった。

40数名ガ集まると、さすがきのこの種も多くどこから集めてきたのだろうかと思うほどであった。

採集種の中での稀菌はコカンバタケ(絶滅危惧種)といい福島氏も始めて出会った珍菌であるという。 (報告 上原 貞美) 確認種 ヌメリガサ科: アカヤマタケ キシメジ科 :タモギタケ、オオイチョウタケ、カヤタケ属SP、カヤタケ属SP、ミネシメジ、オオキツネタケ、カレバキツネタケ、キナメアシタケ、サクラタケ、キサマツモドキ、サマツモドキ、ハタケシメジ、ツエタケ属SP、ヌメリツバタケモドキ、ヒロヒダタケ、ヒメカバイロタケ、カブベニチャ、モリノカレバタケ、アマタケ?ワサビカレバタケ タモギタケ   撮影  上原 貞美              タモギタケ   撮影  河野 茂樹 テングタケ :カバイロツルタケ、タマゴタケSP、タマゴタケタ、マゴタケモドキ、ドクツルタケ、ヒメコナカブリツルタケ、ヒメベニテングタケ、フクロツルタケ、ミヤマタマゴタケ モエギタケ科: アカツムタケ、スギタケモドキ、ヌメリスギタケモドキ、 ハナガサタケ スギタケモドキ   撮影  上原 貞美 フウセンタケ科 :アセタケ SP、オオワライタケモドキ(仮)、イロガワリフウセンタケ イッポンシメジ科 キイボガサタケ ヒダハタケタケ科 :ヒダハタケ オウギタケ科: フサクギタケ オニイグチ科: クリカワヤシャイグチ イグチ科: キヒダタケ、ミヤマキヒダタケ、カラマツベニハナイグチ、アワタケ属SP、アシベニイグチ 、クロアワタケ?、クロアワタケ?、ドクヤマドリ、ヌメリニガイグチ、シロヌメリイグチ、ハナイグチ、ハンノキイグチ、シワチャヤマイグチ、ヤマイグチ属、ヤマナラシノアオネノヤマイグチ、アメリカウラベニイロガワリ、オオダイアシベニイグチ、ニセアシベニイグチ、ニセアシベニイグチ?、ミヤマイロガワリ?

ベニタケ科: オキナクサハツ、クサハツ、クサハツモドキ、ケショウハツ、ドクベニタケ、イロガワリキイロハツ、ケシロハツ、チョウジチチタケ、ツチカブリ、ヒロハウスズミチチタケ、ホソエノアカチチタケ(池田仮称)、チチタケ、ハイイロカラチチタケ、クロチチタケ ラッパタケ科: ウスタケ ハナビタケ科: ハナビラタケ ハナビラタケ  撮影  河野 茂樹 サルノコシカケ科 :アシグロタケ、キアシグロタケ、コカンバタケ、ツヤウチワタケ、ホウロクタケ、レンガタケ、サジタケ、オオカボチャタケ オオカボチャタケ  撮影  河野 茂樹         オオカボチャタケ管孔  撮影  河野 茂樹 ニセショウロ科: ニセショウロ属 チャダイゴケ科: チャダイゴケ ニカワジョウゴタケ、ニカワハリタケ ノボリリュウタケ科 ナガエノチャワンタケ 麦角菌目 冬虫夏草属: アリタケ、カメムシタケ、サナギタケ、サビイロクビオレタケ クロサイワイタケ科 マメザヤタケ、チャコブタケ 以上97種類 (報告 吉永 潔)

稀少種コカンバタケについて 奥日光宿泊観察会において、確認されたコカンバタケ(別名ヒメカンバタケ)は、発生がきわめて稀な菌である。全国的にも採取の記録が少なく、分布等の正確な情報は不明であり、国の絶滅危惧種に指定されている(環境庁、2000 )。

専門書にも記載例が少ないが、以下は、青森県での採集例をもとに、原田幸雄・工藤伸一両氏が報告された本菌に関する記述の抜粋である。

コカンバタケ                   コカンバタケ管孔            コカンバタケ胞子×400撮影 西田 誠之 和名コカンバタケ(ヒメカンバタケ)

学名 Piptoporus quercinus Schrad Fr kars {形態的特長} 枯木などの材に発生するものでは傘の径10 20cm 、通常半円形~扇形で短い側生の柄をつけるが、地中に埋もれた基質から発生するものでは、 しばしば径 35cm を超える円形の傘を形成し、中心に幅 3cm 程度、長さ 10cm 程度の太い黒褐色の柄をつける。傘表面は、淡褐色~褐色、最初ビロード状のちほぼ平滑または細かい粒を帯びる。肉は肉質で厚く弾力に富み、厚さ中央で 3cm 、縁に向かって薄く、類白色。孔口は小形、最初類白色、傷つけると褐変する。管孔は短く、 2mm 。胞子は長楕円形~紡錘形、無色、大きさ 5.5(~ )× 2.5 m. 、平滑。傘の菌糸は厚壁細胞からなる。褐色腐朽菌。 {分布と生態の概要} 本県(青森)では、初秋、ミズナラの枯木上、およびクリの根際に発生することが確認されている。しかし、田子町のクリ・ミズナラの天然林内で初めて採取された後、同地区も含め採取の記録がない。他には静岡県、鳥取県で採取の記録があるとされているが、全国的にも発生が稀で、分布などの正確な情報は不明である。今後環境の改変によっては絶滅が危惧される種であり、自然林の保護が望まれる。 {特記事項} ヒメカンバタケの別名があり、どちらも和名は「小形」を意味するが、本県で採取されたものは、極めて大形になることが確認されている。同じ仲間のカンバタケ betulinus Bull. Fr karst. はカバノキ類に発生し、肉質が強靭で、孔口も変色しない点で、違いがある。日本産のきのこは学名の基礎となったヨーロッパ産のものと異質の可能性があり、今後学名の検討が必要である。

奥日光における採集菌について 採集者の一人である宮井正彦氏によれば、今回の採集菌は、湯元近辺の遊歩道傍において、腐朽の進んだミズナラと思われる倒木の、地際近くに張り出た枝の部分に発生しており(柄はなく座生)、かなり強い独特の菌臭を放っていたとのことである。採集菌は数個体あったが、いずれも傘幅10㎝以下の個体で、傘表皮の色は黄色から褐色に濃く変り、肉質は軟質で弾力があり水気に富んでいて、一見して硬質なカンバタケ等とは、大きく相違していた。

同定された福島会長にとっても、今回が初対面とのことであった。標本の一部を持ち帰られ培養を試みられているが、本菌がコカンバタケとすれば、少なくとも本邦では初めての試みではないかと思われる。

別掲の写真は、採集後、かなりの時間を経て採集菌を撮影したもので、宮井氏らが観察された折の新鮮な状態からは程遠いと思われるが、コカンバタケの特徴である、褐色変や、傘表皮の粒上組織等がみられる。管孔はきわめて短く( mm以下)、胞子は紡錘形で、傘の菌糸組織は厚壁であった。傘幅 ㎝程度で柄がないこと等、原田・工藤両氏の報告とは相違する点もあり別種の可能性も考慮しなければならないが、このような菌が日光の自然林に棲息していることが確認されたことだけでも有意なことと考え、特に付記した次第である。

なお、本観察会では、同時に他にも、ミヤマキヒダタケ(新種)や、ホソエノアカチチタケ(池田仮称)、オオワライタケ sp 、等、興味深い種が、数多く確認された。このような貴重種が棲息している日光地区の自然純度の高さとその環境保全の重要性はいうまでもなく、あらためて同地区における観察は、今後も細心最善の心構えをもって臨むことを会の申し合わせ事項として、また各自の自戒事項として、遵守したいものである。 (報告 西田誠之)

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